視察研修①(福島県 伊達市版ネウボラ事業)

芦屋町議会では、委員会視察の他に2年に1度、2人以上参加、視察先も自由に決めることができる行政視察があり、11月1日~2日、福島県伊達市役所と双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館に行ってきました。

今回は、5人の議員(内海議長、中西副議長、松岡議員、本田議員、萩原)が参加し、視察団代表は松岡議員、視察先での挨拶は内海議長、中西副議長がされました。視察先やコース決めは、主に松岡議員と本田議員、視察中の旅券の管理や会計、復命書提出などは本田議員が担当してくれましたので、議会だより(令和6年2月発行分)の原稿は私が担当することになりました。

1日目の伊達市役所では、こども部から「伊達市版ネウボラ」、健康福祉部から「健幸都市基本計画、伊達な健幸ポイント事業」について学びました。「ネウボラ」とは、信頼し、安心して相談できるという意味で、妊娠期からの切れ目のない支援体制のことです。事業の基本的な考え(2本の柱)は、1.寄り添う支援、2.保健・福祉・教育の一体的支援で、すべての妊婦と18歳までの子どもとその家庭を対象としています。

特に私が注目したのは、①妊娠届時に面接したネオボラ保健師が小学校入学まで担当する、②ネウボラ保健師、助産師、相談員は各自携帯電話を所持、③妊娠届時に連絡先を交換し、相談したい時はいつでもダイレクトにつながることができる仕組みを整備し、切れ目のない支援を行っていました。

効果としては相談しやすくなった、信頼関係を築くことで支援しやすくなった、様々な職種が重層的に関わることで支援の幅が広がったとのことで、困った時だけでなく、嬉しいことがあった時も連絡があるとのことで、ママと保健師さんの信頼関係を感じました。

他には、育児パッケージサービスも行っていました。市が子育てを見守っているといったメッセージも込められ、妊娠8か月頃の面談時に贈呈(1万5000円相当)するそうで、全妊婦の7割以上(残りの3割は入院や里帰りなどの理由で直接渡せないなど)を訪問で手渡していました。効果としては、①顔の見える関係を作ることで産後の支援にすぐつながる、②妊婦が出産に向けてのイメージをつけられるとのことで、パッケージサービスを始めてからのほうが訪問しやすくなったとのことでした。

1子目用のAタイプ

2子目用のBタイプ

3子目用のCタイプ

産後ケア事業も退院後すぐに利用されているとのことで、産後の育児不安の強い時期にこそきめ細やかな支援が行われていると感じました。芦屋町でも同様の事業を行っていますが、なかなか利用者は増えていません。私は、周知方法や利用料金に課題があるのかと思っていましたが、気軽に相談できる体制、顔の見える関係など、ネウボラ的支援が欠けていたのかもしれませんが、伊達市のように切れ目のない支援を行うためには職員の配置、専門職の配置も必要になってきます。

伊達市では、令和3年度に組織変更を行い、市長部局の健康福祉部ネウボラ推進室から教育委員会部局こども部ネウボラ推進課となり、その下にネウボラ推進係を配置しました。市長部局の健康推進課の保健師をネオボラ保健師に併任辞令することで、保健・医療・教育の一体的支援が実現しているのだと思います。縦割りになりがちな行政の改善策の一つになると感じました。

市レベルの事業を町レベルで実施可能なのかどうか十分な検討は必要であると思いますが、不安を抱えるママたちが安心して出産・子育てできるよう芦屋町版ネウボラ事業の導入を考えてはどうかと思いました。

次は「健幸都市」についてですが、長くなりましたので続きは視察研修②へ