視察研修②(福島 伊達市健幸都市計画・だてな健幸ポイント事業)

健幸都市とは「スマートウエルネスシティ」のことで、スマートは賢明、快適、エコなどで、ウエルネスは健幸、安心、シティはまちづくりのことです。伊達市では、健幸(ウエルネス)をまちづくりの中核に位置付け、市民一人ひとりが健康かつ生きがいを持って、安全・安心で豊かな生活を営むことのできるまちを目指していました。

なぜ、伊達市が健幸都市を目指しているかというと少子高齢化社会への対応です。平成18年には70,390人だった人口が令和4年には57,270人に減少し、高齢化率は36.5%に増加しています。この状態が続けば、税収は減少し、医療・介護給付費の増加につながります。芦屋町も人口減少が続き、令和3年度末の高齢化率は32.94%と増加傾向で、伊達市と同様の課題を抱えています。

伊達市では「歩くこと」を基軸としたまちづくりを推進し、基本方針は1.健康づくり、2.暮らしづくり、3.ひとづくりの3つで、様々な事業を展開していました。特に2の暮らしづくりでは、市街地と中山間地の2地区をモデル地区に設定し、初めは何度もワークショップを行い、歩いて暮らせるまちづくりについて住民との話し合いを行ったそうです。いくら行政が思い描く施策を進めようとしても、住民自身が主体的に関わらなければ、その施策は効果を発揮しません。やはり住民との対話は重要です。

安全に歩けるためのインフラ整備や健康器具の設置、公園管理は地元町内会が行うといった整備内容で、市民の交流拠点のまちなかサロンの施設運営も地域住民により組織されたNPOが管理し、イベントなどを定期的に開催、地域住民の交流の場になっているそうです。

次にだてな健康ポイント事業は、健康づくり無関心層も含めて多数の住民行動変容を促すインセンティブ制度創出のための大規模実証実験を実施(平成26年度~28年度)この実験を生かし、平成29年10月に伊達市独自の健幸ポイント事業がスタートしました。令和2年10月にだてな健幸ポイント事業をリニューアルし、歩数や健康づくりの活動の取り組み内容に応じて、ポイント付与や、福島県の「ふくしま県民パスポート事業」と連携して展開されるようになりました。

ポイントを貯めると県内の協力店で特典が受けられる「ふくしま健民カード」(スマホ参加、記録紙参加)が発行され、ポイントを貯めるとカードがランクアップする仕組みでカードのランクに応じて市や福島県から賞品券や県産品等がプレゼントされるようです。

芦屋町でも「ふくおか健康アプリ」を使った同様のインセンティブ事業を行っていますが、アプリを利用していなければ参加できず、スマホのない、また使いこなせない住民に対する支援は今後の課題です。

最後に、事業全体の費用対効果についての説明がありました。(令和26年度から令和4年度までの様々な事業のデーターとメタボリックシンドローム該当者及び予備軍の割合、要介護・要支援をうけていない高齢者の割合についての説明)人口は減少、高齢化率は増加する中で、全ての事業の参加者は増加し、メタボや介護等の未認定者は横ばいを維持していました。このように費用対効果が数値化されれば、事業継続の有無の判断材料にもなり、職員自身もやりがいや仕事に自信が持てるようになるのだと思いました。

ネオボラも健幸都市の説明も担当係長が行いました。視察受け入れは資料づくりなど、とても大変だと思いますが、自分たちが行っている仕事に自信を持っているのだと感じました。若い職員の方々が一生懸命説明している様子は本当に好感が持て、気持ちのよい視察研修でした。研修の学びを今後の活動に活かしたいと思います。伊達市役所の皆さま、視察受け入れ本当にありがとうございました。